明光義塾ではたらく「人」を伝える

生徒の気持ちがわかるからこそ、寄り添える。「共感」も教室長の大切な仕事

 

平和台教室の教室長を務める松本純哉さんは、学生時代にそれほど勉強が好きなタイプではなかったそうです。学校や予備校などでも集中力が続かず、友人と話してばかりだったとか。そんな学生時代を過ごした松本さんは、教室長として生徒や講師とどのように関わっているのか。詳しくお話を伺いました。

 

朝の触れ合いは、私たち親子にとって大切な時間

――教室長は夕方から夜にかけてのお仕事ですが、家族との時間は取れていますか?

我が家には二人の娘がいて、午前中は親子のコミュニケーションを取る大切な時間になっています。4歳になる長女が保育園に通っているのですが、毎朝、私が保育園に送っています。また、保育園に行くまでの時間は教育テレビを一緒に見ていて、今では私も番組内で流れる歌や、登場するキャラクターまで覚えてしまいました。

 

一時期、長女が保育園に行くのを嫌がる時期があったのですが、その時は園まで遠回りしながら、道中にある川に立ち寄り、娘の気分が変わるまで魚やザリガニを眺めていました。時間に余裕があるからできたことで、その点では午前中に時間が取れる生活サイクルでよかったと思います。

 

目標のない子どもだったからこそ、同じような生徒の気持ちも理解できる

――子どもの頃は、どのような子でしたか?

勉強に対してモチベーションを高く保てず、集中力のない子どもだったと思います。それは高校生になっても変わらず、大学受験の時に友達から言われた「お前は大学受験を甘く見ている」という言葉は忘れられません。予備校で自習していても、すぐに席を立っては同級生と話してばかりの私を見て、心配してくれたのでしょう。当時は特に目標もなく、受験する大学も何となく受かりそうなところを選ぶなど、今考えれば友達の言う通り、甘く見ていたのだと思います。

 

――学生時代の経験は、教室長として生かせていますか?

生徒の中にもかつての私と同じように、目標がない子が一定数いて、高校の志望校を聞くと「わかりません」という答えが返ってくるケースも少なくありません。でも、その気持ちは痛いほどわかります。そうした子にありがちなのが、やりたいことはわからないけど、やりたくないことは答えられるということ。これはやりたくない、これは自分には合わないと、消去法で考えていくと、結果的にやりたいことや得意なことが見えてくることがあります。私も学生時代にそうした考え方で物事を見ていたので、彼らにアドバイスができる。過去の経験は無駄ではなかったと思っています。

 

 

生徒と講師、どちらも成長できる場にしていきたい

――松本さんが考える、教室長の仕事とはなんでしょうか?

一言でいえば、「人の成長をサポートする仕事」です。サポートする対象は、生徒はもちろん、講師も含まれています。基本的に学生の講師が多いので、私は常に、社会人になった時に役立つ経験を当塾でしてほしいと考えています。また、就活を控えている大学生の講師には、私が気づいた長所や課題、また向いていそうな仕事など、タイミングを見てアドバイスをしています。

 

生徒については、学力を伸ばすだけでなく、塾を人間として成長できる場にしていくことも意識しています。生徒の中には人見知りや思春期を迎えた子もいます。そうした生徒とはできるだけ多くコミュニケーションを取るようにもしています。以前、物静かで引っ込み思案の生徒がいて、積極的に話しかけていたら、生徒のほうからも声をかけてくれることが増えていきました。それをその生徒の保護者にお伝えしたら、「珍しく心を開いているのかも」と言われ、それがとてもうれしかったですね。

 

 

何を言うかよりも、誰が言うか。経験があるから共感が生まれる

――生徒との関わり方で気をつけていることを教えてください。

心がけているのは、まず共感してあげることです。よくある例として、ゲーム好きで勉強をあまりしない子と面談した時は、私は決して「ゲームをするな」とは言いません。なぜなら、私も子ども時代にゲームが好きでたくさんしたいと思っていたから。でも、そこはメリハリをつけないといけない。ゲームだってしたいし、でも勉強もしないといけない。それなら、どうしたら両立できるだろうと、一緒に考えてあげる。否定はせず、寄り添うことから始めています。

 

――生徒へかける言葉にも気をつけていますか?

何を言うかよりも、誰が言うか。私はそれが大事だと思っています。例えば、中学生の男子と、その母親との三者面談の時に、生徒に「お母さんに勉強しろと言われて、うるさいと思ったことはない?」と聞くと、素直に「あります」と答える。次に、お母さんに「正直、口うるさく言うのは嫌ですよね?」と聞くと「そうですね」と返ってくる。つまり、どちらも嫌な思いをしているわけです。それなら、どちらも嫌な思いをしないようにするにはどうすればいいかを、みんなで考えることになります。

 

私は子どもの頃、勉強が楽しいと思っていたタイプではないから、生徒の気持ちがわかる。今は2児の父親でもあるので、親としての気持ちもわかる。だからこそ、共感できるし、伝えられることがあるわけです。自分も同じ気持ちを経験していることを二人にわかってもらえれば、こちらの言葉も自然と伝わります。教室長は、必ずしも勉強が得意だった人だけが就ける仕事ではありません。子どもの“できない気持ち“を理解できる人のほうが、やりがいがあり、楽しめる仕事かもしれませんね。